海がしょっぱいのはどうして? 地球のめぐりと水の旅
この記事では、どうして海の水がしょっぱいのか、その理由を地球の水の大きなめぐりと一緒に学んでいきましょう。
海のしょっぱさのもと「塩」とは
海の水に溶けている「塩」というのは、キッチンで使う食塩と同じ成分(塩化ナトリウム)がほとんどですが、その他にもマグネシウムやカルシウムなど、いろいろな種類のミネラルが混ざり合っています。海の水を蒸発させると、写真で見るように白い結晶が残りますが、それが海の塩です。
塩はどこから海にやってくるのでしょう?
海の塩は、最初から海にあったわけではありません。そのほとんどは、地球の長い歴史の中で、陸地から運ばれてきたものです。
雨が降ると、その水は山や地面を流れて川になりますね。このとき、雨水は岩石や土の中に含まれるミネラル分を少しずつ溶かしながら流れていきます。ちょうど、水に砂糖や塩が溶けるのと同じように、岩石の中のミネラルも水に溶け出すのです。
図を見ると分かりますが、このミネラル分を溶かした川の水は、やがて海へと流れ込みます。地下を通って海にたどり着く水もあります。このようにして、陸地で溶け出したたくさんのミネラルが、長い時間をかけて海に運ばれてきたのです。
なぜ海だけしょっぱくなるのでしょう?
川の水にもミネラルは少し溶けていますが、なぜ川はしょっぱくなくて、海だけがしょっぱいのでしょうか?
それは、地球の水の大きなサイクルに関係があります。
海の表面からは、太陽の光の力で水が蒸発します。蒸発した水は水蒸気になり、やがて雲を作って、雨や雪となって再び地上に戻ってきます。図で水のサイクルを見てみましょう。
このとき大切なのは、水だけが蒸発して空に上がっていくということです。海に溶けている塩分は、ほとんど蒸発しません。海に残された塩分は、時間が経つにつれてどんどんたまり、海の水がしょっぱくなっていったのです。地球が生まれてから何億年という長い時間がかかることで、今の海のしょっぱさになりました。
川の水も海に流れ込むたびにミネラルを運びますが、川の水はどんどん流れて入れ替わるため、ミネラルがたまりにくいのです。一方、海は流れ込んだ水が蒸発して減っても、塩分は残るため、少しずつ濃度が高まっていきます。
海のしょっぱさは大切な環境です
海の水がしょっぱいことは、海の生き物にとってとても大切です。魚や貝、プランクトンなど、海の多くの生き物は、このしょっぱい環境の中で生きられるように体ができています。もし海のしょっぱさが急に変わってしまうと、海の生き物たちは生きていくのが難しくなってしまうこともあります。
海のしょっぱさは、地球の水のめぐりや岩石の成分、そして何億年もの長い時間によって作られた、海の生き物にとって欠かせない環境なのです。
まとめ
海の水がしょっぱいのは、陸地から川や地下水によってミネラル分が運ばれてくること、そして海の水だけが蒸発して塩分が海に残されることが、長い時間をかけて繰り返されてきたためです。
海のしょっぱさは、海の不思議な特徴の一つであり、海の生き物が暮らすための大切な環境でもあります。地球の水の大きなめぐりを知ると、海がより面白く、大切に思えてくるのではないでしょうか。もっと海のことを調べてみるのも楽しいかもしれませんね。