海の流れはどうしてできるの? 世界をめぐる海の大きな道
地球をめぐる大きな海の道:海流とは
地球の海には、川のようにいつも同じ方向に流れる大きな水の動きがあります。これを「海流」と呼びます。海流は、遠い国から遠い国へと、あたたかい水や冷たい水を運び、地球の気候や海の生き物たちに大きな影響を与えています。
この大きな海の道は、一体どのようにして作られるのでしょうか。そして、海流が私たちの地球にとって、どれほど大切なのかを一緒に見ていきましょう。
海流が生まれる3つの大きな理由
海流が動き出すには、いくつかの大切な力が関わっています。
1. 風の力
海の上を吹く風は、海の表面の水を押し流します。強い風が長く同じ方向に吹き続けると、その力で海の表面の層がゆっくりと動き始め、大きな海流の始まりとなります。たとえば、貿易風と呼ばれるいつも同じ方向に吹く風は、大きな海流を作る原因の一つです。
2. 水の温度と塩分の違い
海の水は、場所によって温度や塩分(塩辛さ)が異なります。
- 温度の違い: あたたかい水は軽く、冷たい水は重くなります。北極や南極の冷たい海では、水が冷やされて重くなり、海の深いところへ沈んでいきます。一方、赤道付近のあたたかい海では、水が温められて軽くなり、海の表面を移動します。この重さの違いが、深い海の大きな流れを生み出します。
- 塩分の違い: 塩分が多い水は重く、少ない水は軽くなります。例えば、凍った氷から溶け出した水は塩分が少ないため軽くなり、蒸発して塩分が濃くなった水は重くなります。この塩分の違いも、水が沈んだり浮いたりする原因となり、海流の動きにつながります。
これらの温度と塩分の違いによって起こる海流は、海の深い場所をゆっくりと移動し、地球全体をめぐる「熱塩循環(ねつえんじゅんかん)」という大きな流れを作り出します。図で示すように、この循環はまるで地球の心臓のように、あたたかい水や冷たい水を運び、熱を地球全体に広げる役割をしています。
3. 地球の回転(コリオリの力)
地球はいつも自転しています。この回転する力によって、海流はまっすぐに進むことができず、少しずつ曲がるように流れます。この曲がる力を「コリオリの力」と呼びます。北半球では右寄りに、南半球では左寄りに海流が曲がるため、地球全体を見ると、海流はぐるぐると大きな円を描くように流れていることがわかります。世界の海流図を見てみると、この大きな円の動きを確かめることができます。
海流が地球と生き物にもたらす大切な役割
海流は、地球の環境と海の生き物たちにとって、なくてはならない存在です。
- 気候の調節: 海流は、赤道付近のあたたかい熱を北極や南極へと運び、冷たい水をあたたかい地域に運びます。この働きによって、地球全体の気温が極端に上がりすぎたり、下がりすぎたりしないように調節されています。もし海流がなかったら、地球の気候はもっと厳しくなると考えられています。
- 海の生き物の命を支える: 海流は、プランクトンや小さな海の生き物たちが移動する手助けをしたり、深海から栄養分を表面に運び上げたりします。また、魚やクジラなどの大きな生き物も、海流に乗って遠い場所へ移動したり、食べ物を探したりすることがあります。海流が魚たちが集まる良い漁場を作ることもあります。
- ごみを運ぶこと: 残念ながら、海流は人間が出したプラスチックごみなども運んでしまいます。そのため、世界中の海に、ごみが集まる場所ができてしまうこともあります。
私たちにできること
海流は地球の自然が作り出す、とても不思議で大切な現象です。この壮大な海の道が、私たちの地球の環境と海の生き物たちの暮らしを支えていることが理解できます。
海流についてもっと深く知ることは、地球の気候変動や海洋環境の問題を考える上でとても重要です。この不思議な海の動きに、さらに興味を持って、ぜひ色々な海流について調べてみてください。そして、海をきれいに保ち、海の生き物を守るために、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。