海の色はどうして青いのでしょう? 光と生き物のふしぎ
海の色は、場所や時間によってさまざまな表情を見せます。多くの場合、海は青く見えますが、ときには緑色や茶色に見えることもあります。この海の色が、どのようにして決まるのか、とても興味深いふしぎが隠されています。
この記事では、海が青く見える理由を中心に、太陽の光と海の小さな生き物がどのように海の色に関わっているのかを解説します。
太陽の光と水のふしぎな関係
まず、海の色を考える上で大切なのが「太陽の光」です。わたしたちの目に見える太陽の光は、実はたくさんの色の光が混ざり合ってできています。虹が赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫の七色に見えるように、光にはそれぞれ異なる色が含まれています。
水は、これらのさまざまな色の光のうち、赤い色に近い光を吸収しやすい性質を持っています。プールやお風呂の水が透明に見えても、光は水の中を通るときに少しずつ吸収されていきます。特に赤い光は、あまり深いところまで届かずに水に吸収されてしまうのです。
一方、青い光は水に吸収されにくいため、水の中をより深く進むことができます。深い海に太陽の光が差し込むと、赤い光は吸収され、青い光だけが残ります。そして、この残った青い光が水中で散らばる(散乱する)ことで、わたしたちの目に海が青く見えるようになります。水の量が多ければ多いほど、この青色がはっきりと見えるようになります。
光が水に吸収される様子は、水深が深くなるにつれて色が薄れていく図を見ると、よく理解できるでしょう。
小さな生き物と海の色
海の色を決めるのは、太陽の光だけではありません。海の中には、わたしたちの目には見えないほど小さな生き物がたくさんいます。これを「プランクトン」と呼びます。プランクトンには、植物のように光合成をする「植物プランクトン」と、それを食べる「動物プランクトン」がいます。
特に植物プランクトンは、葉っぱが緑色に見えるのと同じように、緑色の色素を持っています。そのため、植物プランクトンがたくさんいる海では、その緑色の色素が光を吸収したり反射したりして、海が緑色に見えることがあります。
例えば、栄養が豊富な海や、川からたくさんの栄養が流れ込む海域では、植物プランクトンが大量に発生することがあり、海の色が緑色に変わることがあります。海の表面を拡大した顕微鏡写真を見ると、その小さないきものが想像できます。
環境と海の色が教えてくれること
このように、海の色は、水の深さ、太陽の光、そして海の小さな生き物であるプランクトンの量など、さまざまな要素が組み合わさって決まります。
さらに、海底の砂や泥の色も海の色に影響を与えることがあります。サンゴ礁の海が透き通った水色に見えるのは、白い砂が光を反射し、そこにプランクトンが少ないためです。一方、大きな川の近くや、底に泥がたくさんある場所では、泥の色が混ざって海が茶色っぽく見えることもあります。
海の色は、その海の健康状態や、そこで暮らす生き物の様子を教えてくれる大切なサインでもあります。例えば、普段と違う色に変わった場合、プランクトンの異常発生や、水の汚れなど、海の中で何かが起きている可能性を示していることがあります。世界のさまざまな海の色の写真を見ると、その多様性に驚くことでしょう。
海の色から地球を考える
海の色は、本当に不思議で興味深いものです。わたしたちが普段目にしている海の色は、太陽の光、水、そしてたくさんの小さな生き物たちが織りなす、地球の自然の神秘が詰まっています。
この海の色について知ることは、海のふしぎを深く理解するだけでなく、海が生きていること、そしてわたしたちの環境と深くつながっていることを学ぶきっかけになります。次に海を見たときには、その色がどんなメッセージを伝えているのか、想像してみるのも楽しいかもしれません。